自律神経失調症とガン
自律神経失調症・・・
この症状の名称は過去にはほとんど使用されていませんでした。この症状は、テレビ普及後の「高度経済成長」と同じカーブを描いて増加していると言われます。これは「競争社会」が生んだ症状であるといえると思います。
一方、ガンについても同様のカーブで増加の一途を辿っています。
果たしてこの現象は偶然の一致といえるのでしょうか・・・?
自律神経失調症とガンの共通点
2004年からスタートした厚生労働省の「第3次対がん10か年総合戦略」の添付資料に、「主要死因の推移」に関するグラフが掲載されています。「死因の主要因は感染症からがんを含む生活習慣病へ移行」という注釈つきで、各種疾患の全死亡に占める割合が示されています。
その資料によると1955年約10%であった「悪性新生物(ガン)」が、2000年は約30%に増加しています。その他の病気の中でもトップの増加率を誇ります。
自律神経失調症はといえば、病気として認知されていない症状であるがゆえに統計上に現れることはありませんが、ガンや脳血管疾患などの病気の増加と関連がないとは考えにくいのです。
現に安保徹(あぼ とおる)教授は、ガンの原因は交感神経緊張症であると説いています。
生体防御システムは自律神経システム、免疫システム、内分泌システムと互いに関連しあい機能している生きるために不可欠なシステムです。ゆえに自律神経システムが乱れれば免疫システムは乱れます。そして免疫不全状態に陥れば、ガンの発生を助長することは以前より考えられていたのです。
そして、ガン患者には「ストレスを長期間かつ強度に受けていたという経験」を持っている方が非常に多いといわれます。すなわち自律神経失調症とガンは少なからず関連性があるのではないか?との考え方が存在するということです。
また、「高度経済成長」が終わり「競争社会」から「格差社会」に突入しようとしている昨今、ストレスの種類も過去に比べ計り知れないものとなりつつあります。このことは、自律神経失調症患者の増加だけでなく、ガンなどの疾患の増加をも引き起こすのではないかと考えられます。
■安保徹(あぼ とおる)教授とは?
新潟大学院歯学部総合研究所教授(国際感染医学・免疫学・医動物学分野)。研究の傍ら、「健康と免疫」、「病気と生き方の見直し」等のテーマで全国各地を講演中。 著書には「免疫革命」「未来免疫学」「体温免疫学」「こうすれば病気は治るー心とからだの免疫学」「絵でわかる免疫」など多数。